歯の健康

DENTAL HEALTH
更新日 2024/10/22

歯みがきだけじゃない!フッ化物洗口でむし歯予防

歯みがきしてもむし歯になるのはなぜ?

むし歯になりやすいのは「歯の溝」「歯と歯の間」「歯と歯肉との境目」の3か所です。実は「歯の溝」はとても狭く、溝の奥の方までは歯ブラシの毛先が届きません。溝の奥まで歯ブラシで汚れを取り除くのは不可能なのです。むし歯の原因のプラークを取り除くことができないので、むし歯菌に負けないように歯を丈夫にしなくてはいけません。最も効果的な方法の一つが「フッ化物洗口」なのです。

歯みがきしてもむし歯になるのはなぜ?

むし歯予防のための「フッ化物洗口」って何?

希釈済みのフッ化ナトリウム溶液(5〜10ml)を用いて、30秒〜1分間ブクブクうがいを行う簡単なむし歯予防方法です。歯の表面にフッ化物を作用させて、むし歯にならないよう歯を丈夫にします。特に歯の表面が成熟していない幼児や児童生徒に実施できれば、むし歯予防対策としてとても効果的であり、「幼児期から中学まで持続した場合、大人になってもむし歯になるリスクが抑えられる」と厚生労働省からも報告されています。
(https://www.mhlw.go.jp/content/000816585.pdf)

全国のデータを見ると、未就学児施設のうち約18%が実施、また全国の約25%の小学校でフッ化物洗口が実施されています(令和3年公表データ)。福井県では実施希望のあった未就学児施設・小学校で集団でフッ化物洗口を実施しています。(未就学児施設のうち約35%実施(令和5年度))

「フッ化物洗口」はどうやってやるの?

洗口液の濃度と洗口の実施回数

未就学児施設や小学校で行う場合、主に「週5回」実施する方法と「週1回」実施する方法があります。週5回では濃度が薄めで225ppm(※)、週1回では900ppmのものを使います。この濃度は乳幼児用の歯磨き剤(500ppm)や小学生以上の歯磨き剤(1500ppm)の濃度と比べても薄いことがわかります。家庭で実施する場合には、歯科医院で購入できるもの(250ppm)や薬局で購入できる一般用医薬品(225ppm)を用いて毎日洗口します。

※ppm(parts per million の略)は「100万分の1」を表す単位のことで、とても微量な割合を示す場合に用いられます。

洗口液の量とうがい方法

洗口液の量とうがい方法

未就学児では5〜7ml、小学生以上では10mlの量を口に含み、30秒〜1分間ブクブクうがいをします。このとき、誤って飲み込んでしまわないよう、必ず下を向いて行います。未就学児の場合は、実施前に水でブクブクうがいと吐き出しの練習を行い、上手にできることを確認してから洗口液に切り替えて実施します。

洗口後の注意

洗口後、30分間は飲食やうがいは控えます。

フッ化物洗口は安全なの?

フッ化物洗口を行う際に洗口液を誤って飲み込んでしまった場合でも、健康被害が発生することはなく、各種の研究や論文で安全性が確立しています。「フッ化物洗口番はどうやってやるの?」の"洗口液の濃度と洗口の実施回数"で書いたように、フッ化物洗口液の濃度は歯磨き剤に含まれるフッ化物濃度より低いのです。
また、通常のフッ化物洗口の濃度であれば、急性中毒を起こす心配はありません。長期間にわたって過量摂取した場合の慢性中毒については、歯と骨のフッ素症というものがあります。しかし、歯のフッ素症は歯が形成される時期に長期間継続してフッ化物が摂取されたときに生じる症状であり、幼児期〜学童期でのフッ化物洗口では発症しません。骨のフッ素症についても一定濃度以上の飲料水を20年以上飲み続けた場合に生じる症状であり、世界的にみてもごく一部の地域にみられた症状なのです。フッ化物洗口では慢性中毒は発生しないのです。

※近頃、PFAS(有機フッ化化合物)が人体への悪影響があるとして問題視されていますが、フッ化物洗口液は「無機フッ化化合物」であり、これとは異なるものです。

福井県では、幼児・児童が広く「フッ化物洗口」の効果を得られるよう、施設・学校でのフッ化物洗口を進めています。
集団で行うフッ化物洗口は、健康格差の解消にもつながります。


厚生労働省 「フッ化物洗口の推進に関する基本的な考え方」について

関連リンク

厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト
フッ化物洗口 | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)

日本歯科医師会 テーマパーク8020
フッ化物 - 歯とお口のことなら何でもわかる テーマパーク8020 (jda.or.jp)