骨粗しょう症とは
骨粗しょう症は、体の中のカルシウムが不足して、骨がスカスカになり、もろく折れやすくなる病気です。特に、閉経後の高齢女性に多く起こりますが、男性や若年女性にも見られ、日常的な食生活や生活習慣も関係しています。
症状
骨粗しょう症は自覚症状がないまま進行します。骨折して初めて「骨粗しょう症だった」と気が付く場合も。自覚症状としては、背中や腰が痛い、身長が低くなってきたなどがありますが、加齢によるものと思われがちなので要注意です。
原因と危険因子
骨粗しょう症の大きな原因は加齢ですが、加齢だけではなく、生活習慣や女性ホルモンの影響も受ける複合的な疾患です。以下のような方は要注意です。
若い女性のやせと骨の関係
福井県では、20~30歳代の女性で「やせ」の割合が増えています。「やせ」は骨粗しょう症の原因になることが分かっています。
女性の骨密度は18歳頃にピークを迎えて、40代を過ぎると徐々に減っていきます。そのため、10代のうちにできるだけ骨密度を増やしておき、成長期以降は骨密度を保つことが大切です。
やせすぎや急激な体重減少が骨に悪影響を与える理由は3つです。
①エストロゲン(女性ホルモン)の分泌を減少させる
エストロゲンは骨を作ることを促してくれます。やせると体の中のエストロゲンが減少し骨密度低下につながります。
②体重が減ることで骨への負荷が少なくなる
骨に適度な負荷がかかると、その負荷に負けないようにと骨が自分で自分を強くする仕組みがあります。体重が少ないと、その仕組みがうまく働きません。
③骨をつくるために必要な栄養が不足する
極端な食事制限やダイエットをすると、体を維持するのに必要なエネルギーや栄養素が不足します。カルシウムやビタミンDが不足すると骨粗鬆症のリスクが増えます。また、妊婦や若い女性の低栄養がその子どもの将来の生活習慣病(糖尿病や高血圧)のリスクを高めるとも言われています。
セルフチェック
自覚症状がないことが多いので、定期的にセルフチェックすることが大切です。
閉経を迎えた女性や「背が縮む」、「背中が曲がっている」といった症状がある方だけでなく、若い世代の方もチェックしてみませんか。チェックの結果によっては、早めに医師に相談し、骨密度検査を受けることも大切です。
定年齢の女性に骨粗しょう症検診(骨密度測定)を行っている市町や職場の健康診査のオプションで検診を受けられる場合もあります。お住まいの市町や加入されている保険者のホームページをチェックしてみてください。
治療
治療の目的は、骨密度の低下を抑え、骨折を防ぐことです。お薬による治療を中心に、食事療法や運動療法を行うことが大切です。カルシウムの吸収を助けるためにはビタミンDも大切です。食事に加え、ウォーキングの時に適度に日光を浴びることで、体の中でビタミンDが作られます。日陰にいたり日傘をさしたりしても効果があるので、気温や体調によって日光浴をするのもよいでしょう。
骨粗しょう症と診断され、お薬を飲み始めても、自覚症状がないために服薬を中断される方も多いという報告もあります。多くの場合は、1年、2年と根気強く治療を続けることで効果が出てきます。「痛みがなくなった」「薬を飲んでも骨密度が上がらない」と思っても自己判断で中断しないことが大切です。